01.物理とは・物理学の目的 - 高校物理
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今回の目標
- 物理とはどういう学問なのか知る
- 物理を習得して何ができるようになるのか知る
今回の範囲
- 物理基礎:p.--
- 物理:p.--
- リードα:Q.--
1.1.物理とは
なんのための物理学?
物理学という学問はどうして今日まで発展してきたのでしょう。
それは現実の現象に根付いた学問であることでしょうか、様々な技術の発展に不可欠となった学問であることなどでしょうか。
物理学は現実世界の科学的現象を少しでも理解しようとして生まれた学問だと思います。
現実世界に起きる物理現象は不思議なものが多く、現代に至るまで多くの科学者を虜にしてきました。
人々は物体の動きに規則性を見出そうとしたのです。
なぜならその規則性が分かれば、今の動きを元に、その後の動きを予想できるからです。
これらの規則性を探す活動の中で得られた観測結果が物理学です。
しかし、本当の規則性は神のみぞ知っています。
本当は規則性などないのかもしれません。
それでも物理学では物理現象にいくつもの物理法則を当てはめ、数式として計算し、今日の生活に活かされています。
つまり物理法則というのは「実験してみたら高確率でこの法則に従うから、この物体も高確率でこの法則に従うのでは」という予測で成り立っているということです。
いろいろと難しいことを混ぜこんでしまいましたが、ここで伝えたかったのは
物理の目標は初期条件からその後どんなことが起きるのか計算で予測するということ、
その計算結果は近似値であることが多いということ
です。
必要な物理法則だけを考える
これから物理学では様々な物理法則を学びますが、そのすべてを毎回考える必要はありません(もしまだ発見されていない法則ももしかしたらあるのかもしれないので、すべての物理法則を考えることは不可能です)。
その場に応じて無視できる程度の誤差なのかを考えつつ法則を考慮するか考えることになります。
簡単に言えば、目的地まで歩く時間を計算するときに0.1秒単位まで考える必要はありませんよね(計算結果に対してあまりに小さいため)。
物理の内容で言えば、万有引力の法則により、宇宙のすべての物体は引き合っていますが、鉛筆と消しゴムが引き合っているようには見えませんよね(惑星ほど重くないと影響しない小さな力であるため)。
試験問題では物体を質点(質量をもった点、つまり大きさを考慮しない理想的な物体)として扱ったり、空気抵抗を無視したりと理想的な状態のみを考えることが多いです。
大学入試など、紙上だけの物理なら、問題の通りに考慮したり、しなかったりすればよいですが、大学の学生実験や研究などでは無視できる誤差なのか、自分で判断する必要があります。
逆に無視できると判断したなら、そこに確かに物理法則が存在するとしても、無視して現象を考察しても問題ないということになります。
数学の証明のような同値関係で進んで行く論理展開からするとなんだか不思議な感じがします。
ですがこれが、物理の目標は(計算結果を出すことではなく)計算結果でその後起きる物理現象を予測することである、ということです。
物理の学び方
このような経緯で発見されてきた物理法則は数式で表されます。
数式が多いために物理は理系科目の中でも難しいというイメージがあります。
物理が途中で分からなくなりやすい理由は、現象と数式のリンクが難しいからだと考えています。
数式だけに触れるのではなく、現象をイメージしながら数式を理解することを重視しましょう。
意味を理解せずに数式だけ覚えていても、どこで使う物理法則なのか分からなくなります!!
1.2.分類
物理学の中でも複数の分野が存在し、それぞれ名称が付けられています。
高校物理で扱う内容は大きく分けて5分野あります。
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力学
物体の動き方の法則について扱う。
他の分野の基礎となる。
質量、力、速度、等加速度運動、重力加速度、投射運動、フックの法則、慣性の法則、運動の法則、運動方程式、作用反作用の法則、 摩擦力、抵抗力、剛体、力のモーメント、重心、仕事、力学的エネルギー、運動量、力積、反発係数、等速円運動、向心力、遠心力、慣性力、 単振動、ケプラーの法則、万有引力 -
熱力学
熱や熱による気体の運動について扱う。
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波動
正弦波や音、光の性質について扱う。
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電磁気
荷電粒子の運動とそれによる磁場の形成、回路素子の電気的性質について扱う。
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原子物理
電子・光子の運動と性質、原子構造の解釈と原子の崩壊について扱う。
中でも力学は物理学の基礎となるので、最初に扱います。